証券アナリスト(CMA)とテクニカルアナリスト(NTAA)はどう違うのですか?どちらの資格を取得するか悩んでいます。というご相談を学生の方から受けました。
現役女性アナリスト(セルサイド)として活躍(?)している私が、アナリスト資格の種類、現場での評価、難易度の違いなどを分かりやすく解説します。
先に結論を述べますと、
- 経済・業績・財務などファンダメンタルズ分析を学びたい場合は証券アナリスト(CMA)
- チャートなどのテクニカル分析を学びたい場合はテクニカルアナリスト(NTAA)
を選ぶといいでしょう。
個人的には、証券アナリスト(CMA)資格の方が業務に生かせると思い私は、証券アナリスト資格を25歳くらいの時に取得しました。テクニカルアナリスト試験は受験すらしておりません。そのためテクニカルアナリスト資格保有者の友人や通信教育のテキストを読んだ知識などを基に執筆しています。
それぞれの協会の公式HPのリンクは以下の通りです。いずれの資格も民間資格であり、国家資格ではありません。また、この資格がなければできないような専業業務はなく、アナリストの業務自体はこれらの資格がなくても行うことができますよ。
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証券アナリスト資格(CMA)はファンダメンタルズ分析
私も保有している証券アナリスト資格(CMA)の主な内容は、企業の業績、成長力など本質的な価値を対象とするファンダメンタルズ分析です。一般的に証券アナリスト、日本株アナリストなど調査の仕事をする場合は、ファンダメンタルズ分析をすることが多いと思います。
ファンダメンタルズ分析とは何か?
ファンダメンタルズ分析とは、経済活動等の状況を示す基礎的な要因をもとに分析することです。
例えば、企業のファンダメンタルズ分析では、「株価はいずれ本質的な価値・価格に収束する」という考え方を重視します。そのため、企業の本質的価値と比較して、現在の株価水準が安いか高いかを判断して、その株式を購入するか、売却するかを決定します。
株式においては、本質的価値(ファンダメンタル・バリュー)の構成要素である企業の財務・業績などの決算資料をもとに分析します(←私はこんな感じのお仕事をしています)。よく知られている指標としては、ER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)、ROE(株主資本利益率)などが挙げられます。
このようなファンダメンタルズ分析をしたい人は、証券アナリスト資格(CMA)を取得することをオススメします。試験に独学合格する方法・ノウハウについては次の記事が参考になると思います。
➡️最新【完全版】証券アナリスト試験に独学簡単に合格できた方法を一挙公開|必読記事
ただ、ファンダメンタルズ分析の専門家であっても実際に投資判断をする際には、テクニカル分析を一切無視することはできません。
私は、テクニカルアナリスト資格(NTAA)は保有していないものの、チャート分析なども勉強しています。ファンダメンタルズ分析・テクニカル分析は、それぞれ完全に独立したものではなく、その両方を踏まえて、実務では実際の投資判断を行なっています。
テクニカルアナリスト資格(NTAA)とはチャート分析が主な内容
テクニカルアナリスト資格(NTAA)は、その名前の通りテクニカル分析が主な内容です。
先ほどのファンダメンタルズのように企業を分析するのではなく、株価が推移してきた過去のデータ、例えば、株価チャートや移動平均線など分析することで、今後の株価はどうなるのかを予想します。
少し難しい表現をすると、株価形成には投資家心理が反映されており、これにより決定された株価の市場価格は、あらゆる情報を織り込んでいるという考え方に基づきます。
アルコリズムなどが導入される前には、このチャート分析、需要と供給を分析することでディトレーダーのように日計りでディーラーさんが利益を稼ぐことができた時代もあったようです。今は、もうシステム売買などが盛んですので、人の手でテクニカル分析だけで稼ぐことは難しいのではないかと思います。
先ほども述べましたが、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析は実務において両方とも重要です。例えば、株価が変動した場合、企業の本質的価値に影響を及ぼすファンダメンタルズの変化であるのか、あるいは需給などテクニカルな要因であるのかを判断する必要があるからです。そのため私は、テクニカルアナリスト試験の受験はしていませんが、資格保有者の同僚に通信教育テキストなどを借りて勉強しています。
証券アナリストとテクニカルアナリストの難易度の違い
私は、テクニカルアナリストの資格ほ保有していない身分でこのようなことを申し上げるべきではないかもしれませんが、私が勤務している証券会社では、「テクニカルアナリストのほうが断然に簡単」という声を耳にすることが多いです。
テクニカルアナリスト試験は、本試験においてテキストの持ち込みが可能なことや出題範囲がアナリスト試験に比べて少ないことも影響しているようです。
私見ではありますがテクニカルアナリスト(NTAA)の方が圧倒的に簡単であると思います。
会員数は10倍もの差があります
私が経験した限りですが、証券アナリスト仲間の中では、名刺にテクニカルアナリストというのを見かけたことはありません。証券アナリストの肩書は、セルサイド仲間、バイサイド仲間だけでなく、IR担当者などで多く見かけます。
調べてみると、会員数は、
- 証券アナリスト(CMA):27,346名(2019年7月22日現在、証券アナリスト協会HP)
- テクニカルアナリスト(NTAA):2,833名(2018年3月末現在、テクニカルアナリスト協会HP)
となっています。つまり証券アナリストの会員数は、テクニカルアナリストの10倍いるということです。会員数だけで単純に比較することはできませんが、私見では、証券アナリスト資格(CMA)の方か圧倒的にプレゼンスが高いと思います。
参考までに、ユーキャンが調査した人気資格ランキングトップのファイナンシャルプランナー資格の会員数は、(2019年7月1日現在、日本FP協会HP)
- AFP(FP2級相当):160,133名
- CFP(FP1級相当):22,329名
となっています。AFP資格保有者多いですね。証券会社や銀行などの金融機関で取得が推奨されていたり、大学生などでの取得している人多いですよね。AFPに合格したら、次は是非FPの最上級資格であるCFPに挑戦してみてほしいですね。
次のサイトが役に立つと思います。
少し話がずれてしまいましたが、
- 証券アナリスト(CMA)はファンダメンタルズ分析
- テクニカルアナリスト(NTAA)はテクニカル分析
- 現場でのプレゼンスは証券アナリスト(CMA)の方が高いと思う(私見)
- 会員数は、証券アナリスト(CMA)が10倍多い
- 難易度は、証券アナリスト(CMA)の方が難しいと思う(私見)
これらを踏まえて、どちかの資格を取得するのか、ご自身で判断していただければ幸いです。
ちなみに、「アナリスト資格かファイナンシャルプランナーの資格か、どちらを受けるが悩んでいます」というご相談もよく受けます。いずれも金融分野の資格として認識されていますが、対象分野が全く異なるので、注意してください。
- アナリスト資格:企業分析・コーポレートファイナンス
- FP資格:個人を対象としたパーソナルファイナンス
を対象としています。
こちらの記事で詳しく説明していますので是非、ご覧くださいね。
➡️【証券アナリスト?FP?】現役アナリスト・CFPが真剣に解説「どの資格を取得すべきか?」
最後までお読みいただき、ありがとうございます。最近、私も歳を取ってきたのか、自分よりも若い人たちの役に立ちたいなぁと思う気持ちが芽生えてきましたw また、いろいろと情報を発信していければいいなと思っています。
今後ともよろしくお願いいたします。
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