今回は、金融分野における「リスク」への理解と、アナリスト資格に合格するために絶対にマスターしておくべき「平均・標準偏差・分散」について、分かりやすく解説します。
「標準偏差」「分散」を理解できなければ、アナリスト試験に合格することはできないと思います。
しかし、逆にに言えば、この2つを理解することができれば、
他の数学知識が乏しくとも十分に合格できる可能性があります。
それぐらい試験においても、実務においても、基本的でありながら重要な分野です。
文系や数学に苦手意識がある人も多いと思いますが、アナリスト試験の際には、とても便利な「関数電卓」や「金融電卓」の使用が認められているので、想像より簡単にクリアしていけるはずです。
では、早速!
リスクの捉え方
私たちが個人投資家や学生などを対象にお話する時に、よくする質問があります。
- 100%の確率で10%の損失
- 50%の確率で40%の収益率、残りの50%の確率で10%の収益率
どちらがより大きなリスクがあると思いますか?
多くの人は、「1:の方が大きなリスクである」と答えます。
確かに、日常的には「リスク」という言葉の定義は、「損失や危険」を意味します。
しかし、
投資の世界におけるリスクとは「不確実性」であり、
金融論においては「損失=リスク」ではありません。
金融における「リスク」
リスクとは、
- 100%の確率は存在しないこと=「不確実性」、あるいは変動性を指します。
- 具体的には、「標準偏差」や「分散」が重要となります。
100%の確率で発生することは、不確実性がなく、リスクが存在しません。
(例えば、試験勉強のおいても出てくる「安全資産」は、日本国債の金利を用います。それは、日本の国債は、満期前に売却しないことやデフォルトしないことを前提とすると、100%の確率で確実に得られるリターンであり、リスクのない「安全資産」として捉えることができるからです。)
一方で、100%の確率で発生しないことを、不確実性があるとして、その不確実なリスクが平均からどの程度ばらついているのかを示すために、標準偏差や分散を用います。
「標準偏差」と「分散」
例えば、誰もが知っている平均値は、その統計数値の代表的なものです。
そして、
平均からデータ全体がどの程度、散らばっているかを示すのが標準偏差や分散です。
業務においては、
株価のパフォーマンスなど、不確実性を伴いながら変動するものについて、
最も発生しうる数値を「期待値」として平均で求め、
変動の大きさを平均値からのばらつき「標準偏差」「分散」で表現します。
何のためにこのようなことをするのかと疑問に思われる受験生もいるかもしれません。
アナリストの業務においては、莫大なデータを処理することが多くあります。
そして、そのデータがどのような特性を持っているのかを分析して数字で示す必要があります。
そのために、様々な統計数字を用いて、分析し、自分の判断を固めていきます。客観的な定量分析は、とても重要です。