例えば、学生時代にどの分野が出題されそうか予想して、「山を張って」試験に臨んだ経験がある人は多いと思います。
「この教授の性格からして、この分野が試験に出題されそうだ」
「今年は、昨年に出題されなかった分野から出題されそう」
「時事問題からも1題ぐらい出題されるかな」etc…
証券アナリスト試験においても、主催団体である日本証券アナリスト協会が何を考え、どのような方向性で「証券アナリスト試験」を運営しているのか?
その資格の思想、方向性を知ることで、試験の出題傾向などが予想しやすくなるはずです。
Contents
証券アナリスト試験は何を目的に存在するのか
具体的には、証券アナリスト協会は、何を目的として、この試験を実施しているのか?証券アナリストの資格は、何のために存在し、どのように世の中の役に立っているのか?しっかりと知っておく必要があります。
日本証券アナリスト協会いわく
日本証券アナリスト協会検定会員(CMA®)は、当協会が、一定の学習、訓練、経験を通じて、証券アナリストとして必要なスタンダードに達したことを認定する資格です。
投資助言や投資管理サービスを提供するプロフェッショナルとしての資格です。投資価値の評価は投資対象の企業価値の算出と将来価値の予測が柱となっています。企業価値を正しく分析するためには、企業財務に関する知識はもとより、マクロ・ミクロ経済、資本市場や金融商品の仕組み、投資理論に至るまで、幅広い知識が求められます。
具体的には、なぜ、経済・財務・PMの3科目なのか?
例えば、証券アナリストには、株主と経営者の情報の非対称を解消したり、コミュニケーションスキルを低下させる、健全なマーケット市場に貢献するなどという重要や社会的役割があります。
会社の経営にあたっては、株主よりも経営者が圧倒的な情報を有しているため、悪意ある経営者がいれば、株主は騙されてしまうことになります。そこで中立的な立場であるアナリストの判断が重要になるのです。
そのため、株価やマーケット、ポートフォリオや経済知識だけでなく財務などの知識が必要になるのです。
何故、2次試験は論述なのか?
アナリストの業務は、知識を身につければ、できる仕事ではありません。
基本的な知識・経験が重要ではありますが、同時にそれをどう展開していくかという応用力が欠かせません。
そのため、1次レベル試験では、最低限アナリストとして必要な知識が身についているかをマルチプルチョイス(選択問題)でチェックされます。
一方、2次レベル試験では、基本的な知識や理論を、現実の問題にいかに応用して展開していけるか、その思考能力が合わせて評価されるのです。
そのため、2次レベル試験における回答は1つではない場合があります。理論的に正しい場合には複数の結論が正解となります。例えば、「投資する」「投資しない」と言った全く逆の結論であっても、理論的に正しければ、両者ともに正解となります。また、部分点がもらえる可能性もあるようです。
1次2次レベル試験の対策
このように、
- 基本的な知識を身につければ合格できる1次試験
- 基本的な知識を応用して論述する必要がある2次試験
と全く性質が異なっています。
1次試験2次試験共に基礎となる知識や理論を身につけることは欠かせません。
しかし、知識を丸暗記しているだけでは、2次試験に合格することは難しいでしょう。
理論を丸暗記するのではなく、いかに展開するか
が重要となります。
簡単な例を出してみると
- A+B=C
- C=A-B
- A=B=C
+-を理解することなく、この計算式だけを丸暗記した人は、B=C-Aを導くことができないでしょう。それどころか、4つも暗記する必要があり、非常に非効率です。
しかし+-の理論を理解しておけば、「A+B=C」この一つの公式を覚えるだけで、4つに展開することができるのです。
証券アナリスト試験を勉強する中で、多くの公式や理論式に出会うはずです。そんなとき、それぞれの公式の関係性をじっくりと観察してみてください。
言葉で覚えた理論が数式で理解できたり、その関係性から理論を展開できたりetc…新しい発見があるはずです。そして、ただ暗記し続けるより、応用していく学習の方が楽しいはずです。
個人的な意見となりますが、アナリスト協会はこの「応用力」を重要視しているのではないかと思います。そのため、「基本的な知識+応用力」があれば、難しいとされる2次レベル試験にも合格できるように思います。
まとめ
資格試験を受ける時は、その試験がどのような人物を輩出するために作られているのか、どのような能力を測るために存在するのか、さらに、これまでどのような人が合格してきたのかを自分自身が理解することで、勉強のテクニックと合わせて、一層効率的な勉強ができるようになるはずです。